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山岳トンネル施工ロボット2機種が 第10回ロボット大賞・国土交通大臣賞を受賞 ~危険で過酷な作業であるロックボルト打設・支保工建込みを完全機械化~

2022年11月22日

 当社グループの中核事業会社で、ロックドリル部門を担う古河ロックドリル株式会社(社長:荻野 正浩)は、この度、6m継ぎボルト打設装置を搭載したロックボルト専用ロボット「BOLTINGER」と鋼製支保工建込みロボットが、山岳トンネル工事の切羽作業を機械化する山岳トンネル施工ロボットとして、第10回ロボット大賞・国土交通大臣賞を受賞しました。

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6m継ぎボルト打設装置を搭載したロックボルト専用ロボット「BOLTINGER
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鋼製支保工建込みロボット

 受賞したのは、切羽(トンネル掘削の最先端箇所)で使用する6m継ぎボルト打設装置を搭載したロックボルト専用ロボット「BOLTINGER(ボルティンガ―)」(大成建設株式会社と共同開発)と、鋼製支保工建込みロボット(前田建設工業株式会社、マック株式会社と共同開発)の2機種です。
 山岳トンネル工事では、削孔・装薬、発破、ズリ出し※1、支保工建込み、コンクリート吹付、ロックボルト打設の一連作業を繰り返しながら掘削作業を行います。その作業現場となる切羽では、地山が露出しており、岩石の落下等(肌落ち)による労働災害がたびたび発生しています。肌落ち災害防止のために、肌落ちが発生しやすい切羽への立ち入りを減らし、一連の作業をいかに安全に行うか、様々な取り組みが進められています。
 受賞した2機種は、切羽での危険で過酷な作業であるロックボルト打設作業と支保工建込み・コンクリート吹付作業をそれぞれロボットで完全機械化したトンネル機械で、切羽への立ち入りを不要とし、省人化・生産性向上だけでなく、災害リスクの大幅な低減と、山岳施工トンネルロボットとして建設土木業界の発展に貢献する点が高く評価されました。
 古河ロックドリルでは、切羽で使用する機械のニーズを捉え、今後も課題を解決する製品を提供することで、山岳トンネル工事の安全性と生産性向上に貢献していきます。
※1ズリだし:発破によって生じた土砂を運搬する作業。

ロボット概要・受賞理由

6m継ぎボルト打設装置を搭載したロックボルト専用ロボット「BOLTINGER」】

支保工建込みとコンクリート吹付後に、岩盤を固定するためにロックボルト打設を行う機械。その作業は、ロックボルト用の孔のせん孔、モルタル注入、ロックボルト挿入で、従来人力で行っていた切羽付近での高所かつ重労働である一連のロックボルト作業を完全機械化し、安全性を飛躍的に向上させたこと。
【鋼製支保工建込みロボット】
ズリ出し後の切羽において、岩盤が崩れないように支える支保工建込みとそれを固定するコンクリート吹付を行う機械。従来の施工ではオペレーター1名と切羽に立ち入る作業員4名が必要だったが、このロボットでは切羽に作業員が立ち入ることなく、オペレーター1名のみでの機械作業が可能となり、省人化と施工サイクル短縮による生産性向上を実現しただけでなく、切羽での肌落ち災害リスクを大幅に低減させたこと。

【補足資料】

■賞の概要

【ロボット大賞】共催:経済産業省(幹事)、一般社団法人日本機械工業連合会(幹事)
           総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省

我が国のロボット技術の発展や社会実装を促進することを目的として、ロボットの先進的な活用や研究開発、人材育成といった様々な分野において、優れた取組を実施した企業等を表彰する制度です。
そのうち、国土交通大臣賞は主に、社会インフラ・災害対応分野を対象としています。

■製品の特徴

【6m継ぎボルト打設装置を搭載したロックボルト専用ロボット「BOLTINGER」】(大成建設株式会社と共同開発)

346mのすべてのロックボルト打設を完全機械化

継ぎ仕様の打設装置を設けることで、短尺(3m、4m)から長尺(6m)までの一般的なすべてのロックボルト打設が可能になりました。
②役割を分けた3ブーム構成
せん孔専用ブーム×2式とモルタル充填・ロックボルト打設専用ブーム×1式の3ブーム機構で、せん孔とロックボルト打設を同時並行して進められる機構にしました。
③コンピューターによるせん孔位置ガイダンス機能を搭載
せん孔位置のガイダンスやせん孔実績を記録、表示することで、せん孔した孔に打設装置をスムーズに誘導し、正確かつスピーディーな施工を実現しました。
④モルタル供給装置を機体に搭載
機体後方にモルタル供給装置、モルタルポンプを搭載し、キャビン内からのモルタル充填作業が可能になりました。
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3ブーム構成
モルタル供給一体化.png
モルタル供給一体化

【鋼製支保工建込みロボット】(前田建設工業株式会社、マック株式会社と共同開発)

①支保工位置ナビゲーションシステム

支保工に装着した測量用プリズムや後方に設置した自動追尾型トータルステーションなどにより、運転席でナビゲーション画面を見ながらの操作が可能になりました。

②高性能エレクター(支保工などを所定の形状に組み立てる装置。グリップやアームが伸縮し、前後、旋回などの機能を備えている)

鋼製支保工位置の微調整が可能となり、高精度な支保工建込みができます。

③自動建込用鋼製支保工

ワンタッチ式のクイックジョイント継手により、支保工の接合が容易になりました。
鋼製支保工建込みロボット概念図.jpg
鋼製支保工建込みロボット概念図

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