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ロックドリル部門:全自動ドリルジャンボ『J32RX-Hi ROBOROCK®』を開発・販売開始

2020年06月15日

- 高速かつ正確な自動せん孔により生産性向上を実現 -

当社グループの中核事業会社である古河ロックドリル株式会社(東京都中央区日本橋1-5-3 社長:阿部 裕之)は、全自動ドリルジャンボ『J32RX-Hi ROBOROCK®』を開発し、今年度より国内販売を開始しました。

ドリルジャンボは、岩石を破砕する鉱山やトンネル土木工事の発破工法に主要機械として使用されており、近年、山岳トンネル施工現場では、①作業員の安全性確保のための掘削作業の自動化、②発破工法の約6割を占めるせん孔作業の効率化・高精度化による生産性向上、③熟練作業員確保の困窮等が課題となっております。特に、ドリルジャンボにおいては、手動で行うブーム操作・せん孔操作が複雑で、経験豊富な熟練作業員の勘に頼るところがあり、自動化技術の推進と生産性向上が求められてきました。

古河ロックドリルでは、このような市場の要望に応えるべく、2016年から古河機械金属の技術統括本部先端技術部と全自動化を目的とした共同開発をスタートさせ、センシング技術を駆使したコンピュータ制御システムの開発を続けてきましたが、このほど、熟練作業員でなくても一人で高精度せん孔ができる全自動ドリルジャンボ『J32RX-Hi ROBOROCK®』を完成させました。

主な特徴としては、せん孔計画(ドリルプラン)に沿ってガイダンスするナビゲーション機能に加え、ロボット工学では一般的な逆運動学を使用したせん孔ブームの自動位置合わせ機能を追加することで、3式あるブームがケージを含め互いに干渉することなく、予め設定したせん孔位置・角度に最短ルートで自動ポジショニングするコンピュータ制御を可能にしました。また、岩盤の変化に対応してせん孔操作の肝となるフィード・回転・打撃の3要素を自動調整することで、スムーズな全自動せん孔を実現しました。これにより格段にせん孔作業を効率化・高精度化し、生産性向上による工期短縮に大きく寄与するとともに、作業員の安全性を確保しました。さらに、補助ベンチ付全断面掘削工法※1に対応した“スライド格納式大型チャージングケージ”を2式搭載し、補助ベンチ長約4.5mまで作業可能な“3段伸縮式チャージングブーム”を採用したことで、補助工法や付帯作業の生産性向上も実現しました。

古河ロックドリルは、ドリルジャンボにおいて約80%の国内シェア※2を有しており、全自動ドリルジャンボを始めとする同製品群の拡販に対応するため、生産設備増強を実施し生産体制を強化しております。今後も、引き続き顧客との関係を強化し、山岳トンネル施工現場でのICT化や無人化等の課題解決に取り組んでまいります。

  1. ※1切羽の安定性と安全性を目的として、切羽の上段と下段で 2.0m 程度の前後差をつけ全断面を同時に掘削する工法。
  2. ※2シェアは当社調べ。

価  格

定価:582,000千円(税別)

販売目標

台数:初年度10台

特  徴

  1. 1革新のオートドリリング制御

    岩質の変化に応じた最適なせん孔状態にコンピュータが自動制御します。予め設定したせん孔計画(ドリルプラン)を選択し、岩盤変化による油圧ドリフタ回転圧異常、ビット目詰まりを検知して、自動的にフィード・回転・打撃の3要素をバランスさせたスムーズなせん孔が可能です。

  2. 2革新のオートブーム作動制御

    せん孔計画(ドリルプラン)に沿ってガイダンスするナビゲーション機能に加え、 せん孔ブームの自動位置合わせ機能を追加することで、自動せん孔、自動ポジショニングが可能となり、予め設定したせん孔ポイントを自動せん孔することが可能です。また、比例切換弁の採用により作動油の流量調節ができ、スムーズかつスピーディな複合作動で生産性を向上させます。

  3. 3先進的な制御システム

    自動化を構成する全ての機器類と電子制御ユニット(ECU)は、CAN通信でメインコンピューター(MPC)に接続されています。キャビン内のモニタリングシステムにより機器の異常を素早く察知することができ、メンテナンス時間の短縮が可能です。

  4. 4稼働サポートシステム(ドリルNet)

    現場のドリルジャンボで収集した各種データを、オンラインで工事事務所、本社・支店、あるいはサービス拠点で情報を収集することができます。収集した各種データをオンラインでリアルタイムに共有し、付属のパソコンで結果を記録・分析します。切羽最前線にあるドリルジャンボをネットワークを通じ外部からアシストすることで、切羽の変化にスピーディな対応が可能です。

  5. 5大孔径対応の高出力型油圧ドリフタ「HD250」を搭載

    打撃時の衝撃エネルギーを緩和し推力を維持するデュアルダンパ機構と、エネルギー伝達効率を極めたくさび型ピストン形状及び新ピストン作動機構により、異なる岩質に幅広く、素早く対応します。負荷に応じた最適な制御をすることで、高い破砕効率を実現しました。複雑な操作もなく、ムダのないパワーで安定した快適なせん孔ができます。

  6. 6環境にやさしいオフロード法2014年基準適合クリーンエンジン搭載

    先進の排気ガス浄化技術「尿素SCRシステム」を採用した、オフロード法2014年基準に適合したクリーンエンジンは、コモンレール式燃料噴射装置、排ガス処理装置、排ガス再循環装置等を装備しており、環境有害物質のPM(粒子化合物)・NOx(窒素酸化物)ともに低減した、最高レベルの低排出ガス成分を実現します。

  7. 7快適なキャビン&ゆとりの運転環境

    キャビンは、リフタブル機構により上昇し全方向に広々とした視界を確保します。また、快適な室内環境を保つクーラーを標準装備。気密性が高く、多様な稼働条件のもとでも快適な作業ができます。

  8. 8高精度なMWD(Measurement While Drilling)機能

    せん孔中の作動油圧、せん孔速度等の各種データを記録、分析した結果を岩盤性状の変化として事務所のパソコンに表示することができます。表示指標は、単位体積当たりの岩石を破砕することに使用した打撃エネルギーのほか、Hardness(岩盤の硬さ)、Fracturing(岩盤の亀裂)、Water(岩盤の浸水性や湧水)などがあります。

主要諸元

モデル名称 J32RX-Hi ROBOROCK®
油圧ドリフタ HD250×3
ガイドシェル GH833-Ⅳ×3
ブーム JE331L-DN×3
スライド式チャージングケージ 720L×2
エンジン VOLVO
TAD572VE(オフロード法2014年基準適合)
160kW/2300min-1
せん孔用油圧パック電動モータ 75kW×3
コンプレッサ用電動モータ 11kW
水ポンプ用電動モータ 7.5kW
水平せん孔範囲 幅16,000mm × 高10,460mm
さし角3°せん孔範囲 幅16,400mm × 高10,660mm
チャージングケージ作動範囲 幅17,000mm × 高9,950mm
(ヨークスライド長 3570mm)
せん孔径 Φ45~76mm(Φ102)
J32RX-Hi ROBOROCK®
全自動ドリルジャンボ『J32RX-Hi ROBOROCK®』

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以上