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アルミ溶湯耐溶損性に優れる特殊鋼『トケナイト』を用いたアルミホットチャンバーダイカストマシンを共同開発

2016年10月21日

-アルミダイカスト製品製造設備で使用される消耗部品類として-

当社グループの古河キャステック株式会社(東京都千代田区丸の内2-2-3 社長:大久保昌範)は、このほど、アルミ溶湯(溶解したアルミニウム)への鉄分溶出を抑制する特殊鋼『トケナイト』(特許取得製品)を用いたアルミ鋳造機「アルミホットチャンバーダイカストマシン(試作機)」を株式会社ヒシヌママシナリーと共同開発しました。

従来、アルミダイカスト製品製造設備の鋳物素材として使用されている「ねずみ鋳鉄(FC250)」は、アルミ溶湯と反応し鉄が減肉する溶損現象が発生しやすく、射出廻りの消耗部品として使用する場合に寿命が短いことが課題となっておりました。『トケナイト』はアルミ溶湯による鉄分溶損に対する耐性が強いことから、消耗部品の寿命を大幅に改善することが可能で、アルミ鋳造の新たな鋳造法となるアルミホットチャンバーダイカストマシンの開発に大きく貢献しました。
『トケナイト』を採用したアルミホットチャンバーダイカストマシンは、従来アルミ鋳造過程で発生する鉄の溶損等によるコンタミが防止できることから、アルミ鋳造部品の高純度化が可能で、自動車用アルミダイカスト部品の薄肉化と強度向上の実現が期待できます。

古河キャステックは、引き続きアルミホットチャンバーダイカストマシンの共同開発を進めると同時に、アルミ溶湯耐溶損性に優れる『トケナイト』の販売を強化し、アルミ業界の抱える溶損問題に対し、用途開発を図ってまいります。
なお、2016年11月24日から26日パシフィコ横浜で開催される「2016ダイカスト展示会」において、株式会社ヒシヌママシナリーが、共同開発したアルミホットチャンバーダイカストマシンを出展する計画で、高付加価値部品を実現する新たなアルミ部品鋳造法として紹介する予定です。

『トケナイト』製部品の特徴

これまでのアルミ製造における鉄分溶出への対応策としては、セラミック製品あるいは黒鉛製品を用いるか、鋳物類に特殊なコーティング処理を施すことしかありませんでした。しかしながらセラミック製品は高額で破損しやすく、黒鉛製品は耐久性が十分とは言えず、コーティング処理は効果の持続性が不安定で消耗部品の寿命延長も厳しいという、それぞれ大きな課題がありました。これらの問題を解決するのが『トケナイト』です。

  1. 1アルミ溶湯による浸食に強く、鉄分溶出が少ない
    ねずみ鋳鉄及びカーボン製品に比べアルミ浸食に強く、アルミ溶湯への鉄分の溶出(コンタミ)量は、ねずみ鋳鉄(FC250)に比べ大幅に抑えることが可能。
  2. 2温度変化による膨張、伸縮に強い
    温度変化によって起きる製品の膨張、収縮については、耐熱鋳鋼であるため、ねずみ鋳鉄、セラミック、カーボン製品に比べ伸びがあり、急速な温度変化に強く、破損の恐れが少ない。
  3. 3衝撃に強い
    ハンドリング等に伴う外的衝撃については、鉄系素材であるためセラミック、カーボン製品のように容易に破損することはない。
  4. 4機械加工が容易で、溶接も可能
    ねずみ鋳鉄、セラミック、カーボン製品に比べ鋳鋼素材であるため機械加工が容易で溶接も可能。

製品に関するお問い合せ

株式会社ヒシヌママシナリーと共同開発したアルミホットチャンバーダイカストマシン

以上