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産業機械部門:自動車メーカーに低圧鋳造機消耗部品『トケナイト製 湯口ブッシュ』を発売

2018年10月05日

-アルミ溶湯への鉄分溶出を抑制する特殊鋼「トケナイト」により消耗部品の長寿命化を実現-

当社グループの古河キャステック株式会社(栃木県日光市足尾町下間藤3-5 社長:大久保 昌範)は、この程、低圧鋳造機に使用する消耗部品『トケナイト製 湯口ブッシュ』の販売を開始します。

古河キャステックでは、アルミ溶湯(溶解したアルミニウム)への鉄分溶出が少ない特殊鋼「トケナイト」を開発、2012年よりアルミ鋳造部品製造設備で使用される消耗部品類の早期溶損でお困りの自動車メーカーに、「トケナイト」製の部品を販売してきました。まったく新しい特殊鋼であるためテストでの採用などを経て、改良を繰り返し、少しずつ実績を積み上げてきました。

なかでも、日産自動車様では、エンジン用部品鋳造機の金型部品『湯口ブッシュ』を「トケナイト」製にした結果、部品寿命を従来比約13倍(約3週間から約9か月)に伸ばすことができました。更に、「トケナイト」の持つ高保温性によりアルミ溶湯の温度低下を防止し、湯口廻りの鋳造欠陥を抑えることでエンジン用部品の鋳造良品率の改善にも寄与しました。
この成果を踏まえ、低圧鋳造機をお使いで、溶損や鋳造不良でお困りの自動車メーカーに、『トケナイト製 湯口ブッシュ』の販売を開始します。

なお、古河キャステックは、11月8日からパシフィコ横浜で開催される「2018日本ダイカスト展示会」(主催:社団法人日本ダイカスト協会)に出展し、「トケナイト」製部品を展示する予定です。アルミ溶湯による消耗部品類の早期溶損でお困りの方は、同社ブースにて課題をお聞かせください。

補足資料

  1. 1アルミ鋳造部品に求められていること

    アルミ鋳造部品は、自動車の軽量化のため車載部品として広く使用されておりますが、近年、燃費向上やエコカー開発等を背景に、車両の軽量化に対する要望はますます強まっており、アルミ鋳造部品の薄肉化とそれに伴う強度の向上が重要な課題となっております。
    強度の向上のためには、これまでアルミ鋳造部品製造過程において生じていた消耗部品類からアルミ溶湯への鉄分の溶出をいかにして防ぎ、不純物の混入を抑制するかが重要となります。

(参考)
国土交通省による地球温暖化対策の一環として定める自動車の燃費改善目標
車両重量が1300kgのガソリン・ディーゼル自動車の場合(JC08モード)
2015年実績 17.2km/L →2020年目標 20.3km/L

地球温暖化対策として、自動車メーカーは燃費を向上させる手段の一つに車両軽量化(1.0km/Lの燃費向上には100kgの軽量化が必要)を目指しています。その実現に向け、鉄部品はアルミなど軽量部品に置き換える方向にあり、アルミ鋳造部品製造による技術革新が進められています。トケナイトはそのボトルネックを改善する可能性があります。

  1. 2特殊鋼「トケナイト」の特性

    開発した特殊鋼「トケナイト」(2012年9月14日発表)は、特殊な製造方法により、素材表面にアルミ溶損に強い特殊被膜を形成している(参考写真)ため、これを消耗部品類に用いることで、アルミ溶湯内で鉄分の溶出を抑制することから、アルミ鋳造部品の強度向上に大きく貢献します。
    さらに、消耗部品類の寿命を伸ばすことが可能となるため、アルミ鋳造部品製造における生産効率の向上とコスト削減の両面にも寄与することが期待されます。

参考写真:トケナイトの表面材料構造
基地の表面に改質層と酸化層の2層の被膜を形成

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以上