interview

実験が、全部成功するなら、
なんにも面白くないですよ。

研究開発

大阪工場
開発課 開発技術係

M.N.

2022年入社
先端科学技術科 先端科学技術 専攻 修了

あの頃の好奇心が、 仕事になった。

昔から理科の実験が好きで、休日に開かれる体験教室にも自分から参加していました。みんなが敬遠していたカエルやブタの目の解剖なんかも、自分はあまり怖がらずにやっていました。実際に手を動かし、自分の目で確かめることが面白かったんだと思います。大学院で研究したのは、関節の軟骨に代わる高分子材料についてでした。材料の配合や実験条件を少し変えるだけで、硬さや性質が大きく変わっていく。ほんのわずかな条件の差が、結果にはっきり表れるところに、化学の奥深さを感じました。もちろん、狙いどおりの結果ばかり出るとは限りません。仮説を立てて、実験し、その結果からまた次の方法を考える。

そうした試行錯誤を重ねるのが好きで、就職活動では研究開発職を志望しました。古河機械金属には、社名のとおり、機械や金属の会社という印象を持っていましたが、調べるうちに、化成品を通じてモノづくりを支える事業があると知りました。大学院で扱った有機材料とは異なる分野でしたが、新しいことを学べそうだと感じたのも、入社を決めた理由です。

ビジネスの厳しさを 知った経験。

入社1年目から任されたのは、プリント基板の銅めっきに使われる酸化銅を、より安価な原料でつくる研究です。将来の増産に備え、原料を変えても、これまでと同じ品質を保てる製法を確立することが目標でした。ところが、条件を変えて何度試しても、予想とは違う結果ばかり。温度が原因なのか、配合なのか、手順なのか。ひとつずつ可能性をつぶし、結果を見直しては、次の仮説を立てる。すぐに成果が出ない苦しさはありましたが、嫌になることはありませんでした。うまくいかなかった理由を考えるうちに、新たに試したいことが次々に浮かんでくるんです。そうして約4年をかけ、ようやく製法として成立するところまでたどり着きました。

ところが、実際に導入するには、工場を一からつくり直す必要があると判明。研究としては成功しても、事業として採算が合わず、採用は見送られました。悔しかったですね。ただ、実験で答えを出すだけでは、仕事としての研究開発は完結しない。設備やコストまで含めて、世の中に出せる形にする必要がある。その厳しさを、身をもって知った経験でした。

ラボから、 現場を変えていく。

現在は、硫酸工場の製造工程を改善する研究に取り組んでいます。現場へ足を運び、製造を担当する人たちから困りごとを聞く。そこから解決策を考え、実験室で小規模な試験を行い、手応えがあれば工場での実証へ進めます。ただ、ビーカー単位の試験で成功しても、工場では設備の構造や温度の伝わり方、原料を投入する手順も異なります。実験室でうまくいった方法が、そのまま通用するとは限りません。

大学院までは、狙った性質の材料をつくり、その理由を明らかにできれば、研究として成果になりました。けれど、仕事ではそれだけでは足りません。工場の設備で再現できるか。作業する人に無理がないか。コストに見合うか。そこまで成立して、はじめて現場に提案できます。自分の考えた方法によって、作業の手間が減ったり、製造が安定したりする。実験の結果が、現場の変化として返ってくるところに、この仕事ならではの面白さを感じます。もちろん、今も思いどおりにいかないことばかりです。でも、予想外の結果が出れば、その理由を知りたくなるし、また別の方法を試したくなる。実験が百発百中で成功するなら、私はここまで、研究開発に夢中にはなれていないと思うんです。

MY UNIQUE PATH

学生時代
大学院で、関節軟骨の代替を目指した高分子材料を研究。材料の配合や条件によって性質が変わる面白さに触れ、研究開発職を志す。
入社1年目
古河ケミカルズに配属。学生時代とは異なる無機材料の分野で、酸化銅の新たな製法開発を担当。試行錯誤を重ねながら、研究者としての基礎を築く。
入社4年目
約4年をかけて新たな製法を確立。ただし、大規模な設備投資が必要となるため実用化には至らず、研究成果だけでなく、採算や生産設備まで考える重要性を学ぶ。
現在
硫酸工場の製造工程改善を担当。現場の課題を聞き、実験室での検証から工場での実証まで進めながら、実際のモノづくりに役立つ方法を追求している。