我々の生活に身近な存在になったがん。日本では受診率が低く、死亡率は増加傾向にある。その背景には、診断精度の低さや受診時の痛みがある。次世代検査装置の開発が望まれている現状を、古河機械金属はどう捉えたか。

オンリーワン製品を手掛ける実績が
新たな技術開発への期待につながる

当社は非鉄製錬業から得られた素材を扱う技術を、さまざまな分野に応用させてきた。最近ではγ線用シンチレータ結晶の開発にも成功し、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)、東北大学サイクロトロンラジオアイソトープセンター、神戸工業高等専門学校との産学連携による次世代乳がん検査装置の開発プロジェクトに参画するに至っている。

※シンチレータ結晶…そのままでは検知できない放射線を吸収し、検知しやすい紫外線や可視光などの光に変換し発光する特殊な結晶のこと。

検出器に採用されている時間分解能に優れたシンチレータ。

長期にわたって引き継がれた素材技術が
これまでにない結晶成長技術を確立

装置開発にあたっては、これまでの金属材料開発の実績や結晶成長技術がベースとなった。こうして生み出されたGAGG結晶は時間分解能に優れるとともに空間分解能2.5mm以下を実現した。それを用いた装置により、鮮明な画像処理と精度の高い検査が実現し、これまでの全身用PETでは困難とされてきた早期乳がんの発見への道を拓いた。さらにこの特性が、従来型の検査装置では不可欠であった乳房の強圧迫を不要とし、痛みから受検者を解放することにも役立っている。

検出器は長さ20 cmの平行平板2枚構成とし、上板を上下に移動できる構造に。リング型検出器と比較して、検出器を乳房に接近させることができることから、感度上昇とノイズ(ランダム計数)減少が可能となった。

素材事業と機械事業の融合

当社には、素材と機械が事業経営の両輪となり、素材開発から機械製品の製造まで一社で対応できる特色がある。この強みは、素材と機械いずれの特性も最大限に取り入れた装置の製造を可能とし、今回の次世代乳がん検査装置開発においても痛みを伴わない「人にやさしい」機械装置「PEMGRAPH」を実現させた。素材と機械、どちらにも精通しているからこそ、成し遂げることができたのである。

「PEMGRAPH」は度重なる臨床試験を経て、厚生労働大臣からの製造許可を受けた。当社は今後も、時代の変化に応じて少しずつ技術を進化させていく。

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